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Raycast vs Alfred? —— 見落とされていたSpotlightの凄さ

正直に告白します。この記事を書く前まで、私は RaycastとAlfredの比較記事 を書こうとしていました。
なぜなら、Macユーザーにとって「検索ランチャー」といえばこの2つだと思っていたからです。

ところが調べれば調べるほど気付かされました。
── 検索に特化しているのは実はSpotlightだった、と。

この記事は、単なる比較記事ではなく考察記事です。

これまで私は純正Spotlightを軽んじてきたことをここに告白します。

「command+spaceキーを外して作業しろ」とか「MacBookをまな板にしてりんごでも切っとけ」などと言われても反論できません…。

そんな気づきを経て、改めて検索ツールとしてのSpotlightを再評価しつつ、RaycastとAlfredを比較し、この三つ巴を考察、整理し、その棲み分けについて考えてみます。

いずれも「検索ランチャー」ですが、設計思想や得意分野は大きく異なることがわかりました。

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はじめに

私はAlfredもRaycastもいま現在使っています。これらはできることが本当に多いし、被る領域が広大で、どちらが優れているか論争は後を絶ちません。

Spotlightを使わなくても様々な検索だってこの2つにもできます。しかし、Mac内の純正アプリやフォルダ・ファイル・写真などの検索に特化してるのは間違いなくSpotlightです。Spotlightにできないことを補うためにRaycastとAlfredを使います。

Alfredに関しては、他ができることを「すべてできるようする」ことは正直可能です。ユーザーによって長年蓄えられてきたWorkflow財産が豊富にあります。しかし、費用を含めてコストゼロで使える手軽さはありません。

近年登場して人気なのがRaycastです。Raycastは、Alfredが有料で提供している Powerpack を利用することでしかできないことが無料でもできます。公式ストアによるエクステンションの提供が豊富で、導入コストもほとんどかかりません。しかし、使ってみればわかりますが痒いところに手が届かなかったりするのも事実です。

この記事では詳しく触れませんが、私はこの3つ組み合わせて使っています。3つを同時に使うとなると一見複雑化しそうですが、できるかぎりシンプルにすることで脳への負担を減らしています。簡単ですが、その使い方について書いておきます。

この3つはいわゆる作業効率化ツールです。作業効率化で一番やってはいけないことは、作業効率化しようとしすぎて逆に非効率になってしまうことです。そのため、学習コストを出来る限りかけないようにすることが重要です。よく使うものに関してはいいのですが、ailiasを設定したところで「あれ?この機能のaliasなんだっけ?」と必ずなります。ホットキーも同じで「どのキーの組み合わせだったっけ?」と必ずなります。そうなるくらいならいっそアプリを立ち上げてやった方が圧倒的に速いです。

なぜこの運用になったかは、この3つの設計思想の考察を読むとわかるようになります。もしくは、あなたなりの運用の方法が見つかるかもしれません。いいアイデアがあれば教えて下さい。

Spotlight —— ネイティブ統合で最速検索

Spotlightはとにかく「検索することだけ」に特化しています。そのFuzzy検索の威力は驚異的で、他のサードパーティ製の追従を許さないほどです。導入コストも学習コストもゼロで、Macユーザーなら ⌘ + Space のホットキーで即使用できます。Spotlightのホットキーを無効にしてしまっている人は今すぐに元に戻して有効化すべきです。

「検索する」という一点に集中した結果、迷いなく使えて最速なのがこのSpotlightです。

サードパーティを純正に寄せる工夫

Spotlightの強みを活かすには、可能な限り外部サービスを純正アプリに統合することです。

  • Googleカレンダー ⇄ iCloudカレンダー
    標準で同期可能。Spotlightで検索できるようになります。
  • Googleタスク ⇄ Apple Reminders
    ReminderBridge(有料買い切り)を使えばMac上で双方向同期が可能。
    • SiriやApple Watchで追加 → Googleタスクにも反映
    • Gmail作業中にタスクを追加 → Remindersにも反映
  • Notes.app
    残念ながら外部との統合は難しいが、Spotlightで本文検索できるのは強み。
    ※ Notes.appの効果的な使い方については今後記事にする予定です。

外部サービスと純正を統合できれば、Spotlightで横断検索する流れが強力で理想的です

ReminderBridge

Raycast —— サードパーティとAIを束ねる司令塔

Raycastは「操作を集約するハブ」として設計されています。公式ストアでのエクステンション導入により、サードパーティと統合してホットキー集約とアクション実行までをサポートできます。自分が欲しい拡張機能さえあれば導入も簡単です。

モダンで洗練されたUI、⌘ + K アクションパネルに統一された直感的操作、初めての人でも迷わない設計が近年評価されています。

「多様なツールを一箇所にまとめたい」「AIを自然に組み込みたい」人のための 司令塔アプリ です。

キー入力工程とのトレードオフ

Raycastの検索窓は「操作を見せるUI」であるため、目的の動作まで辿り着ける安心感があります。しかし、その分 AlfredやSpotlightより1〜2手多くなる 場面がほとんどです。作業効率化という意味では、検索窓に打ち込んでEnterキーなどを複数回押さなければならないのは非効率と言わざるを得ません。
目的の動作をホットキー一発で終わらせる工夫、もしくは「一発で終わらせたい」はAlfred向きという割り切りが大事です。

Alfred —— 自動化ワークフローで徹底時短・最速入力

Alfredは「最短操作」に命を賭けたツールです。学習コストは高いが、自分が欲しい機能をWorkflowで自作でき、一度組んでしまえば「自分専用の超効率環境」が手に入ります。

「何度も繰り返す作業」や「即時性が求められる処理」はAlfredに任せるのが最適です。

学習コストの壁

  • Workflowの構築はAIの支援があるにせよ、中〜高程度で上級者向けです。
  • ただし一度組めば「自分専用の超時短環境」が手に入ります。

Raycast同様、Alfredは「何でもできる」性質ですが、SpotlightとRaycastの両方ができることを「やろうと思えば本当になんでもできます」。 “逆引き”発想(=効率化したい操作から設計)が肝心です。

現在はRaycastの方が勢いがあって人気のアプリですが、上級者はそれでもAlfredを推しています。

RaycastとAlfredの比較表

観点AlfredRaycast
拡張性複雑な自動化も可能シンプル+モダンサービス連携
UI/操作性カスタマイズ自由度が高いモダンで直感的
クリップボード/OCR安定・スニペットが強力OCR対応(英語)・フィルタ機能
ウィンドウ管理外部依存標準機能で対応
安定性10年以上の実績新興で進化中
料金買い切りPowerpack基本無料+Proサブスク

三者の棲み分け指針

スクロールできます
ツール設計思想得意分野学習コスト注意点
Spotlight検索特化純正アプリ内検索
Live Text検索
ほぼゼロ・検索以外はできない
Raycast操作ハブサードパーティ連携
ホットキー集約
AI連携
低〜中・UI操作で安心感があるが、工程が増える
・AI利用はサブスク課金
Alfred自動化効率化職人反復作業の自動化
最速入力
中〜高・Workflow構築の知識が必要
・Workflow利用は有料の買い切り型

まとめ

検索だけならまずはSpotlightで
「Spotlightで見つかりさえすれば、それでOK」な場面は意外と多い。

モダンなサービス連携や機能拡充、AI活用はRaycastで。
「操作を集約しながら、AIを自然に利用」できる環境を構築。

反復・複雑工程はAlfredで。
「複雑な処理をショートカットで徹底自動化」し、生産性を最大化。

何より大事なのは、「何ができるか」から入るのではなく、「どの作業を効率化したいか」を起点に機能を逆引きで導入することです。

どのツールも非常に優れているので、使ったことがない人はまずは導入して使ってみてください。

オススメはRaycastをまずは使ってみることです。無料でも必要かつ十分な機能が備わっています。ホットキーの呼び出しでAIを活躍させてみてください。最初の50回は無料で使えます。そして、どうしても自動化させたい作業があるときに、Alfredは凄まじい恩恵をもたらしてくれます。

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